強みを生かし、機会を捉えて、大躍進!「災害対応型 循環式水洗トイレ」の開発!
株式会社 ダイドウ災害対応型 循環式水洗トイレ「リサイくるん®」の開発を通じ、「2015 がんばる中小企業・小規模事業者300社」および、「2014 四国産業技術大賞 革新技術賞 優秀賞」をW受賞した企業がある。株式会社ダイドウである。
同社が開発した「リサイくるん®」は、災害対策のみならず、環境対策においても貢献度が高いことで、全国の山や景観地、そして観光地等から、昨今大きな注目を集めている。
そこで、取締役専務の宮尻徳輝氏に、取り組みへの想い、そして今後の展望について話を伺った。
東日本大震災を契機に
株式会社ダイドウは、高知市で上下水道工事、保温工事、バリアフリー工事などを行う建設業者である。「地球にやさしい時代をめざして」を経営方針に掲げ、古来より伝わる”もったいない“を伝承し続けると同時に、世界に誇れる日本の文化と心を大切にし、地球環境に優しい時代を目指してきた。
そして、培ってきた知識と経験を生かして、地域に何か貢献できないかと、日々模索をし続けていた。そのような折、未曾有の被害をもたらした東日本大震災が発生した。それが、同社が立ち上がる、大きな一つの転機となったのだ。
深刻となったトイレ問題
東日本大震災において、食糧や水、衣類、避難所不足は、連日メディアでも大きく報道されたが、それ以上に深刻だったのが、実はトイレ問題であった。
水道・電気などのライフラインが、壊滅的な被害を受けた避難所では、「水洗トイレが機能しない」、「垂れ流し状態で排泄物が蓄積」、「不衛生な状態が1~2ヶ月継続」、といったことが大きな問題となったのだ。
また、このような不衛生な環境下での生活が、O157やノロウィルスといった病原菌による感染症の拡大を引き起こし、衛生面での2次災害を深刻化させていた。
特に女性は、プライバシーのないトイレに過度のストレスを覚え、その抵抗感からストレス障害(PTSD)に陥りやすかった。
また、トイレを利用することを避けようとして、水分や食事の摂取を極端に抑え、結果、体調を崩して、極めて危険な状態になる女性が後を絶たなかったのだ。
男性用トイレ
循環式水洗トイレの開発
このトイレ問題に対し、代表取締役の宮尻千恵子氏は、「同じ女性として軽視できない問題だ」と、全社を上げて立ち向かうことを決意した。
そして、同社の強みである、給排水衛生設備工事で培った現場での技術経験や、建設資材での製品開発力、そして、お客様のニーズに応える製品改良力などを生かし、災害時にも対応でき、かつ環境にも優しい循環式水洗トイレ「リサイくるん®」の開発に取り組んだ。
課題の達成
競合企業の既存製品は、100回程度の使用で直ぐに使用できなくなるなど、処理能力に大きな問題を抱えていた。それに併せ、汲み取り処理が必要であるなど、災害時の対応力が非常に脆弱であった。
また、大型の浄化槽を設置する必要があることで、巨額の初期投資が必要となり、導入の大きな足かせとなっていた。
そこで同社は、この問題を解決するために、昼間と夜間の処理方法を変動させる、独自の「昼夜コンバージョンシステム」を開発したことに併せ、「有用微生物菌群」を活用するために、県内企業と有機的な連携を図った。
そして、これら技術の組み合わせにより、「処理能力の大幅な向上」、「導入コストの抑制」といった保有課題を達成することに成功したのだ。
名誉ある賞をW受賞
「リサイくるん®」の開発に取り組みを始めて約3年が経過したが、この度、同社に大きな”追い風“が吹いた。中小企業庁主催の「がんばる中小企業・小規模事業者300社」および、四国産業・技術振興センター主催の「四国産業技術大賞 革新技術賞 優秀賞」のW受賞である。
「この賞にふさわしい企業になれるように、全社一丸となって取り組んでいきたい。」と、恐縮しながらも、今後のさらなる発展に目を輝かせていた。
“世界遺産 富士山”へ
宮尻専務は、さらなる技術発展を遂げることで、様々な環境下でも正常に稼働する新製品を、今後も開発し続けていきたいと考えている。
目標として掲げているのが、「世界遺産 富士山」への納入である。
富士山では現在、バイオトイレが主に使用されているが、世界遺産効果で登山者が急増したこともあり、利用過剰が問題視されている。また、それによる環境悪化も懸念されているのだという。
そこで同社は、「地球にやさしい時代をめざして(経営方針)」、挑戦することを決めた。
「高知商工会議所や、四国経済産業局、その他多くの行政機関から、強力なバックアップを頂いており、近い将来、富士山への納入を必ず実現させたいと考えている。また、県外での販路拡大を通じて、高知県の外貨獲得や県内GDPの拡大に、微力ながら貢献していきたい」と宮尻氏は熱い想いを語ってくれた。
会社情報
社名 | 株式会社 ダイドウ |
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住所 | 高知市加賀野井2-21-7 |
代表 | 宮尻 千恵子 |
従業員数 | 計8名 男6 / 女2 (2018年1月時点) |
設立年月 | 1971年1月 |
企業HP | http://www.recykurun.jp/index.html |