和の美しさに魅せられて
Roco&sacuraco(ロコ&サクラコ)濱長花神楽のよさこい祭り髪飾り(2017) ※正方形に小さく切った薄地の布をつまんで折り畳み、母体の上に貼(は)り付けて、意匠を浮彫り風に表現するもの。日本独自の技法である。
趣味が高じたお店です
代表者の末政さんは、高校教師の仕事を退職したのち、お店を始めました。着物が大好きで、古い帯や着物を30年以上にわたってコレクションしてきました。退職後、時間に余裕ができ、手持ちの着物をクッションやタペストリーにリメイクして友人に贈ったところ、想像以上に喜ばれました。その事がきっかけになり創作意欲が沸き、「もっと多くの方に喜んでもらえる作品を作りたい、そして自分の作った作品を見てもらいたい」という思いが芽生えてきました。共同経営者の山本さんは、美容師である姪っ子のお客様に、成人式用の髪飾りをつまみ細工(※)で作成したことが、和装製作の世界に足を踏み入れるきっかけでした。山本さんが作成した髪飾りは華やかなデザインと鮮やかな色彩で、姪っ子はもちろん、成人式に参加した周囲の若者の心をがっちりとつかみました。その後、姪っ子が山本さんが作成した髪飾りを付けてよさこい祭りに参加したことで、さらに作品の認知度は上がりました。評判が評判を呼び、昨年はよさこい祭りの参加チーム「濱長花神楽」の髪飾りを手掛けるまでになりました。山本さんは、もっと多くの人に自分の作品を見てもらう場を設けようと、チャレンジショップに応募しました。その際に、知り合いだった末政さんにも声をかけ、二人の出店が実現しました。
ファッションショーの作品。斬新なデザインが印象的です。
ファッションショーへの参加
チャレンジショップに出店を果たした二人はほどなく、隣の商店街のお店から、商店街が開催する、着物リメイクファッションショーへの参加を持ち掛けられました。着物リメイクのデザインはもちろんのこと、洋裁の経験も多くない二人でしたが、少しでも自分たちの作品のPRにつながればと参加しました。ファッションショーにあたっては、着物や帯を洋服や舞台衣装風にリメイクした作品を製作しました。デザインは山本さんが担当し、昼夜問わず製作し出来上がった作品は全部で約10点。いずれもモダンな作品に仕上がり、評判は上々で、すぐに完売しました。ファッションショーでの成功体験は二人にとって、本格的な店舗の出店を決意させる大きなきっかけとなりました。
着物をリメイクした小物の数々
お客様の喜ぶ姿に後押しされて
チャレンジショップへの入店期間が終了し、末政さんと山本さんは、ショップから数十メートルと離れていない場所に「Roco&sacuraco」を出店しました。店内には、着物や帯をリメイクした作品や髪飾りがところ狭しと並べられており、ひっきりなしにお客様が来店しています。訪れるお客様は60代以上の女性が多く、なかには、思い出のある着物をリメイクして欲しいと頼むお客様もいます。また、舞台衣装の製作の注文も寄せられるなど、クリエイティブなニーズが中心です。チャレンジショップ時代のお客様が新しいお客様を紹介してくれることもあります。当店では、リメイクの際のデザインは山本さんが担当し、洋裁師が仕上げています。注文を受けると、お客様のイメージと作品がかけ離れたものにならないよう、写真やスタイル画を使って何度も打ち合わせを行っています。「出来上がって品物をお渡しするときに、『思い描いた通りで素晴らしい』とお客様に喜んでいただいた時が、一番うれしいです」と二人は話してくれました。
「とにかく忙しいです」と言いながらも、末政(左)さんと山本(右)さんの笑顔からは楽しくてたまらない様子が伝わってきます。
和の中にも洗練された洋の装いを
今後の目標は、着物は作られた時代や産地によって、染の技術や使われる素材が異なりますので、それぞれの着物の魅力をいかに伝えるかが大切だと考えています。そのためにも、生地の良さや和の風合いを生かしつつ、洗練されたリメイクを手掛けたいです。また、若者も含めもっと幅広い層に受け入れられるデザインの作品を作ることが目標です」と山本さんは答えてくれました。これからお二人がどのような作品を生み出し、発信していくのか楽しみです。
会社情報
社名 | Roco&sacuraco(ロコ&サクラコ) |
---|---|
住所 | 高知市はりまや町1丁目1-20 |
代表 | 末政尋子 |
従業員数 | 1 |