写真が魅せる物語
写真スタジオエムフォトオフィス2010年/ マレーシア・ボルネオ
2013年/ トルコ・イスタンブール「Istanbul」より
2013年/ トルコ・イスタンブール「Istanbul」より
2020年/ 高知県須崎市「須崎」より
2013年/ ブラジル・サルバドール「Brasil」より
土佐備長炭の窯出しの様子。高知県東洋町
被写体の何気ない日常を切り取った写真、いわゆるドキュメンタリー写真を専門とするカメラマンの前田実津さん。活動を始めて10年が経とうとしています。活動への思いや将来の展望をうかがいました。
フォトジャーナリストとして
学生時代、国際関係学を学んでいた前田さんは戦争や貧困に苦しむ人々の現状に衝撃を受け、フォトジャーナリストを志していました。大学3年の時にアメリカに留学を果たし、大学でジャーナリズム論を専攻しました。アフリカや南米の国々の現状について学んだのち、2年間マレーシアで外務省関係の仕事をしました。海外生活を通じてますます国際情勢について興味を持った前田さんは、ボリビアなどの発展途上国で、生きづらさを抱える人々の取材を重ね雑誌に寄稿するなど、フォトジャーナリストとして活動していました。
ドキュメンタリー写真との出会い
当時は正義感が強かったと語る前田さんにとって、フォトジャーナリストはやりがいのある仕事でした。しかし人が血を流している写真は、最初は衝撃的ですが、その衝撃に人は慣れてしまい、写真を見ても通り過ぎてしまうと感じていました。ある時参加したワークショップで、見る人に被写体の背景や撮影者の意図までも想像させる「ドキュメンタリー写真」に出会ったことがきっかけとなり、強い興味を持つようになりました。ドキュメンタリー写真は、単に日常を切り取った写真のように見えますが、10年後に見ても被写体のストーリーが浮かぶ奥深さに魅力があります。それゆえ、展示会や写真集を作成する際には、写真を並べる順番にまで心を砕くなど、撮影の技術だけではない知識が求められます。フォトジャーナリストとしての活動のなかで自分が本当にやりたかったことは、写真で人の足を止め、写し出された真実に関心を寄せてもらうことだと思い至りました。そこで、フリーのカメラマンに技術を教えてもらいながら主に自身の祖母や祖母を取り巻く家族を被写体に、亡くなるまでの8年間写真を撮り続け、腕を磨きました。
コロナ禍の可能性
前田さんは5年ほど前に東京からUターンし、高知市内の写真館に就職しました。写真館でライティングなどの写真の技術をあらためて勉強し、2017年に開業しました。現在は、スタジオで記念写真を撮ったり、企業の広告用写真を撮影したりしながらフリーカメラマンとして活動を続けています。 撮影した瞬間の空気感までも感じることができる前田さんの写真は徐々に人気を博し、最近は会社紹介用に会社の日常を伝えられる写真を撮って欲しいと声がかかるようになりました。会社訪問ができないコロナ禍のなか、企業はホームページやパンフレット等を通じて自社をPRしなければなりません。前田さんは、従業員が働く何気ない姿を映した写真や映像の中に会社の本質が表れると感じています。自分が学んできた写真の表現方法がこのような形で役に立てることに対し、ここに自分の生きる場所があるのではないかと感じています。前田さんの写真によって、高知の企業の魅力が再発見される日も近いかもしれません。
会社情報
社名 | 写真スタジオエムフォトオフィス |
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住所 | 高知市南はりまや町1 丁目15-14南はりまやビルヂング301+302 号室 |
代表 | 前田実津 |
企業HP | www.mitsumaeda.com |