１９８１年、当時の高知市一宮には見渡す限り水田が広がり、秋になると辺り一面が黄金色に色づき、人々は稲の刈り取り作業に勤しんでいました。そんなゆったりとした時が流れるのどかな場所に、石造りの建物がポツンと一つ。それが「炭火素敵屋泉家」が生まれた時の風景でした。　元々、代表の泉さんは今治市の友人が営むステーキハウスで働いていました。泉さんが高知でステーキ専門店を開業しようと思うに至ったのは、友人の下でノウハウを学んだことでステーキの奥深さを知ったことがきっかけでした。また、肉屋に知人がいたことや、高知県には当時ステーキ専門店がほとんど無かったことなどが、泉さんの背中を押したそうです。独立するために神戸、東京都とステーキ専門店を巡り、焼き加減による味わいの違いや、ステーキにマッチする副菜の研究など勉強を重ね、地元の高知で開業しました。自分の不動産で店をオープンしたものの、周りが水田という立地から開業の際には不安もあったそうですが、そんな心配をよそにオープン当初から連日お客様で大賑わいだったそうです。

ヨーロッパの牛舎をイメージした石造りの外観は、令和の時代になってもどこか新しさを感じさせます。内観は１００年前の古木を使用した梁を基調に、こげ茶色に統一され落ち着いた雰囲気です。　泉家のメニューには４種類のコースがあり、スタンダードな「炭火素敵コースA（５，５００円）」から特別感のある「最上級炭火素敵コース（１３，２００円）」まで、日頃のちょっとしたご褒美にお勧めです。　素材の良さがダイレクトに伝わるステーキだからこそ、食材には徹底的にこだわっています。お肉は土佐和牛のA４～A５ランクのヒレ肉・ロース肉から、サシの入り方などを直接見極めて厳選し、野菜や海産物もすべて高知県産の新鮮なものを取り揃えています。お肉だけでなく、ボリューム感のある魚介や魚が添えられているので、食べ終わった後には満足感に包まれます。　泉家ではお客様のペースでお肉を味わってほしいという想いから、お客様自身にお肉を焼いていただいています。A５肉はサシが多いですが、サイコロステーキ状にカットすることにより、炭火焼きで短時間のうちにうまみを引き出せます。また、余分な脂分を落とすことができるので泉さんの考える最もおいしい状態で食べることができます。ホクホクの野菜は本来の甘みが引き立てられ、そのままでも十分美味しくいただけます。煙や熱さが苦手な方は、ご希望があれば店側で調理してお出ししています。　各テーブルに消毒液を完備し、席の間隔をあけるなど、コロナ対策も万全です。また、テイクアウトも実施しており、２，０００円～３，０００円でご注文できます。

創業から40年が経ち、時代の移ろいと共に周りの景色やお客様の顔ぶれも大きく変わりました。店舗周辺は量販店や民家になり、交通量も比べ物にならないほど増えましたが、泉家は、今日まで外観もメニューも一切変えることなく営業しています。いつしか昔のお客様はお年を召されてほとんどお見えになることが無くなりましたが、その代わりSNSや口コミなどで泉家を知った若い方々やご家族連れが来て下さっているそうです。どれだけ時間が流れようとも、どれだけ周りの景色が変わろうとも、泉家だけは変わらずいつもの「美味しい」をお客様に届け続けることでしょう。