一歳半以上の未就学児を対象に自閉症やアスペルガーなど、発達の遅れがある児童を預かり、小学校に入学するまでに、学校生活に適応できるように児童の発達を療育する施設を「児童発達支援事業所」という。

2016年４月に開業した「おひさまキッズ」もそのひとつである。

運営会社である株式会社 ＫｉｄｓＵｎｌｉｍｉｔｅｄ（キッズアンリミテッド）の代表取締役、松岡氏は、「子どもだけではなく、そのご両親の力になること。そして、ご両親と一緒に子どもと向き合っていくこと」を自身の使命としている。

開業前、松岡氏は９年間、理学療法士として、障がいを持つ子どもたちのリハビリに取り組んできた。そして、仕事と子どもの療育をいかに両立させるかを苦悩する両親があまりにも多いことに心を痛めていた。

県内には未就学児童を療育する施設が大変少ない。それだけではなく、預かる時間が短い、十分な専門家を配置している施設が少ないなど、発達障がいを持った子どもを受け入れる環境には課題が山積みなのではないか。

ずっとそう感じていた松岡氏は、「それなら」と、一念発起。開業に踏み切った。

子どもたちの可能性を最大限に伸ばすには、親が子どもを理解し、積極的にかかわっていくことが何よりも大切。そう考える松岡氏は、おひさまキッズの療育方針を「そのための環境をしっかり整えること。」と定義する。

働きながら一生懸命子どもと向き合う両親が、自分たちだけで抱え込むことなく、取り組んでいけるよう、スタッフと両親の積極的な情報交換や方針の共有、密な相談体制も整えている。

おひさまキッズは、保育園と同じ時間（９時～17時）で療育を行う、県内でも数少ない児童発達支援事業所である。

「早預り（７時～９時）」や「延長（17時～19時）」、施設への送迎など、共働き家庭の使い勝手を十分考えたサービスを展開している。

おひさまキッズは、開業してわずか１ヶ月で口コミが広がり、初月に３人、２ヶ月目で５人と、利用者が増加している。

現在はまだ、園内だけの活動に留まっているが、将来的には高知市内の保育園、幼稚園、小学校や病院も含め、地域で協力し合える環境をつくっていきたいと松岡氏は考えている。

「もっと支援の輪が広がって、問題点や解決策を、子どもと関わる施設で共有できるようにしていきたいです。きっと、この考えに共感いただける方は少なくないと思います。ご家族の笑顔を増やすためにも、少しずつ、でも着実に、進めていくと決心しています。」

※現在は親子療育や放課後デイサービスにも力を入れています。