イベント出店やインスタグラムを中心に、じわじわと人気が高まっている洋菓子店があります。高知市の住宅街に工房を構えるCarpe diem です。当店には実店舗はなく、メールで注文を受け、高知市内のご指定の場所に商品を配達しています。　創業からまだ２年余りですが、着実にファンを増やし、イベントに出店すると数時間で完売するほどの人気です。

表の武内さんは10代の頃、調理師専門学校に通い、調理師免許を取得しました。しかし、20歳で入社したのは畑違いの美容室でした。美容室で受付として勤務しながらも、美味しいものを作ることが好きなのは変わらず、趣味でお菓子を焼いては友人にふるまっていたそうです。　転機が訪れたのは29 歳の時でした。30歳の節目を間近に控え、自分の生き方について改めて考えたそうです。身近な人だけでなく、もっと多くの人にお菓子を届けたい。そんな想いに突き動かされ、事業としてお菓子作りに取り組むことを決意します。　元来の堅実な性格から、当初イメージしたのは、今の仕事を続けながらできる事業でした。そこで思いついたのが、完全予約制で配達販売する方法です。自宅でお菓子作りができるよう家を新築し、庭に工房を設置しました。「ケーキをつくるために、家を建てたようなもの」と笑う武内さん。彼女の成功の裏には、協力してくれるたくさんの仲間の存在がありました。

創業にあたり、ご家族の応援はもちろん、工房やパンフレットの製作、イベント出店にも友人や知人が力を貸してくれました。「協力してくれる人がいたからこそできた」と話す武内さんですが、みんな彼女のお菓子を食べてその美味しさに惹かれた人ばかり。趣味で作っていたお菓子が、いつの間にか人と人とのつながりを作ってくれていました。　社長の理解もあり、２年間は美容室との二足のわらじで洋菓子販売を続け、今年２月に退職、春から本格的に始動しました。美容室で勤務していた時の知り合いや常連さんは、今もイベントがあると駆けつけてくれます。

当店のお菓子は、家族での団らんや、友達の家に遊びに行く時の手土産、バースデーケーキとしてご利用いただいています。プレゼントでもらって美味しかったから注文したという方も多く、注文の輪がどんどん広がっています。　注文の一番人気は、カボチャプリンです。口当たりなめらかで濃厚なカボチャプリンを、程よい苦みのある表面のカラメルが引き立てます。隠し味になっているのが、底面のスポンジ層。さらにその上に薄く生クリームを挟み、積み重ねられた複数の層の味わいが人気ナンバーワンの秘密です。　その他にも、ふわふわの生地と甘さ控えめのクリームがマッチした生クリームケーキや、まるでチョコレートそのものを食べているような贅沢な味わいの生チョコケーキ等、豊富な種類を取り揃えています。焼菓子の詰め合わせもできるので、ちょっと日持ちさせたい時のお土産にもお使いいただけます。

店名のカーペ・ディエムには、ラテン語で「その日をつかめ」転じて「今日も一日楽しもう」という意味があるとのこと。日頃から直感を大切にすることをモットーにしていて、その時々にピンときた感覚に従い、ここまで辿り着きました。　夢は、美容師のご主人と一緒に、美容室とカフェが併設された店を出すことだという武内さん。毎日を楽しみながらお菓子づくりを続ける彼女のもとに、夢を叶えるチャンスが舞い込んでくる日は、そう遠くないのかもしれません。