南国市久礼田ののどかな田園風景に、たっぷりの太陽が降り注ぐ。
ここには有限会社アフロディアが自家栽培を行う有機ＪＡＳ認証を受けた
有機グァバの農園がある。あまり知られてはいないが、温暖で日射量が
多い高知県は全国屈指のグァバ栽培適地である。

限会社 アフロディアは工場を持たない化粧品メーカーである。加え、自社店舗内でのエステ施術を手掛けている。同社は自家農園栽培のオーガニックコスメ「天海のしずくオーガニック」を2014年９月に発売した。天然原料配合率がほぼ１００％、うち、オーガニック由来成分が90％以上、ローションとエッセンスについては、水は一滴も使用していない。オーガニックコスメとしてのこの配合レベルは世界的な認証機関であるエコサートの基準を大きく上回る。高知大学土佐ＦＢＣでの８００時間に及ぶ研究を行い、自家栽培グァバ葉から抽出したエキスは、県外産、海外産のそれに比べて抗酸化作用やチロシナーゼ抑制効果に優れており、特に美白効果は一般的な美白成分、β-アルブチンに匹敵することなども検証した

同社代表取締役である西川きよ社長は20年以上に渡り美容業界に携わってきた。本人がかなり強い敏感肌であったことから、自分自身があらゆる化粧品を試してきた。会社設立も、「自分が使いたいと思える、本当に信頼できる化粧品を取り扱いたい」という思いから果たした。

有限会社アフロディアでは、商品を販売する際に、単に商品説明を行うのではなく、食事や睡眠などの生活習慣までお客様に助言している。

数多くの化粧品やエステ施術、美容健康食品等に触れてきた西川氏は従前からオーガニックコスメには着目していたのだが、取り扱いについてはずっと二の足を踏んでいた。なぜなら、「ナチュラル」「オーガニック」を謳う商品のなかに、化学成分が含まれたものや、海外産材料を中心としたものがあまりに多いからであった。

このとき既に有限会社アフロディアでは自家農園でのグァバ栽培は手掛けていた。同社が手掛けた「内側から美しくなるための美容茶ジュジュ・グァバティー」の原材料として使用するためである。美容茶で高い痩身効果を得た方が続出したことから、西川氏は「グァバは美容に効く」という確証を持っていた。最初から最後まで、つまり原材料から配合、そして使用感まですべてに納得できる化粧品は世のなかになかなかない。

西川氏が出した結論は「原材料の栽培から自ら手掛ける」オーガニックコスメの開発であった。

「せっかく作るなら、中途半端なものではなく、お客様が驚くような品質のものを作ろう。」そう決意した西川氏は、すぐに自家農園を有機ＪＡＳ申請に着手し、承認に取り付けた。

自家製グァバの成分と有効性を徹底的に研究し、胸を張ってお客様にお勧めしたい。その思いから高知大学土佐ＦＢＣの門戸も叩き、有効成分を最大限抽出できる製造条件や、グァバの機能性の高さについて、同大学吉金准教授の指導の下で研究を繰り返した。費やした研究時間はＦＢＣ受講生のなかでは過去最長となった。研究成果であるグァバの成分効能については学会発表を二度行った。
製造は日本に17社しかない医療用漢方薬のラボのひとつ、日本漢方医薬研究所に依頼。同所の片山智子所長は管理薬剤師であり、オーガニックコスメにも造詣が深かったことから、西川氏の想いにすぐに共感をいただいた。何度も打ち合わせを重ね、何度も使用感を試し、そして出来上がったのが「天海のしずくオーガニック」である。

価格設定についてもこだわりを貫いた。化粧品は使い続けてこそ効果を実感しやすい。肌本来の力を引き出すオーガニックコスメであればなおさらである。「なぜもっと高い値段にしないのか」という声も多かったが、エッセンスとローション、ファンデーション、ホイップ洗顔の基本セットで１３，２００円の価格に据え置いた。

販売開始後の滑り出しは上々であった。品質の高さが全国系美容雑誌のライターの目に留まり、雑誌掲載も実現した。新聞をはじめ様々なメディアにも取り上げられた。ホームページを通じて全国から注文をいただくだけでなく、関東圏に展開するオーガニックショップでの取り扱いも決まった。初年度の売上目標は、販売開始後わずか３か月で達成した。

「大手が席巻する美容業界で私たちが生き抜いていくには、利益率で商売を考えるのではなく、愚直に手間暇をかけて、品質を追求し、お客様の信頼を勝ち得ていくほかにないと思います。それがひいては、大手がコスト面で踏み込みにくい領域で商売をしていくことにもつながりますから。」と西川氏。

「こだわり」の言葉は皆が使う。しかし、商品の良し悪しはこだわりのためにどれだけの行動量を用いたかに比例する。

天海のしずくオーガニックからは、有限会社アフロディアの姿勢や矜持が垣間見えると言えよう。